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山崎教授の超低温作動プロトン伝導セラミック燃料電池が産業競争力懇談会(COCN)2026年急成長技術トップ10に選出

山崎教授の超低温作動プロトン伝導セラミック燃料電池が産業競争力懇談会(COCN)2026年急成長技術トップ10に選出

Q-PIT・材料工学部門の山崎仁丈教授が開発を進める超低温作動プロトン伝導セラミック燃料電池が、内閣府・経産省・文科省などに影響力を持つ産業競争力懇談会(COCN)の「2026年エマージング技術トップ10」に選出されました。

本成果は、2025年8月にNature Materials誌に発表した研究を基盤としています。ペロブスカイト酸化物中のScO6八面体ネットワークを設計することで、わずか300°Cという超低温域での高効率プロトン伝導を実証しました。この成果は、従来型固体酸化物形燃料電池におけるドーパント濃度とイオン移動度のトレードオフという長年の課題を解決するものであり、低コストで実用性の高い水素発電システムの実現に道を開くものです。

COCNレポート全文はこちらからご覧いただけます。

参考文献: Tsujikawa et al., “Mitigating proton trapping in cubic perovskite oxides via ScO6 octahedral networks,” Nature Materials 24, 1949 (2025). https://doi.org/10.1038/s41563-025-02311-w

陳 雨露博士の論文が国際学術誌 Building and Environment において 2025 Best Paper Award を受賞

九州大学在学中に研究を行った 陳 雨露(Yulu Chen)博士 を筆頭著者とし, 尾崎 明仁 教授 ,李 学成(Haksung Lee)氏,李 早(Zao Li)教授が共著した論文が, 国際学術誌 Building and Environment において 2025 Best Paper Award に選出されました。

受賞論文は, Experimental and numerical investigation of a roof-integrated solar heating and humidity control system であり, Building and Environment 誌 Volume 287, Part A(2026年1月)に掲載されました。

Building and Environment は,建築環境・建築設備分野における世界有数の国際学術誌の一つです。 Best Paper Award は,年間約10,000編に及ぶ投稿論文の中からわずか5編のみが選出される非常に名誉ある賞であり, 本論文の全共著者がこの受賞を大変光栄に思っております。

本研究では,屋根一体型の太陽熱集熱・湿度制御システム(SCHCシステム)を提案し, 太陽熱を利用した顕熱・潜熱の同時制御による冬期の室内温熱・湿度環境の改善を目指しました。 多孔質調湿材料を用いた湿度制御に加え, 水ポテンシャルを湿分移動の駆動力として導入する数値モデルを構築することで, 熱・湿気の連成挙動を高精度に評価しています。 実測および数値解析の結果,本システムが従来建物と比較して 優れた集熱性能および湿度調整性能を有することが示されました。

陳 雨露博士は,九州大学在学中に Q-ENERGY フェローシップ の支援を受けて研究に取り組みました。 本受賞は,同フェローシップが国際的に活躍する若手研究者の育成に大きく貢献していることを示すものです。 陳博士の優れた研究成果を,関係者一同大変誇りに思うとともに,心よりお祝い申し上げます。

【プレスリリース】300℃で世界最高のプロトン伝導率を有する安定酸化物を開発 ~大型トラックなど固体酸化物形燃料電池の多用途化を推進~


 SOFCは、高効率かつ高耐久な燃料電池の1つです。水素を燃料とし、発電時に二酸化炭素を排出しない発電デバイスであり、水素エネルギー社会実現に向けた中核技術として注目されています。しかし、発電の動作温度は700~800と高く、高価な耐熱材料の使用による材料コストが課題となっています。もし300℃程度の中温度域で発電できれば、より安価な耐熱材料の使用によるコスト削減が期待されますが、この温度域で十分な性能を持つ電解質材料はこれまで見つかっていませんでした。
 九州大学エネルギー研究教育機構・工学府材料工学専攻の 山崎仁丈 教授 の研究グループは 、スズ酸バリウム(BaSnO3)とチタン酸バリウム(BaTiO3)にスカンジウム(Sc)を高濃度で置換することで、SOFCの電解質材料に求められる「プロトン伝導率が0.01Scm-1以上」という条件を、300℃で達成するプロトン伝導性酸化物の開発に成功しました(図1) 。さらに、この高いプロトン伝導がなぜ発現したのかを明らかにするために、山形大学の 笠松 秀輔 准教授らが機械学習ポテンシャルを用いた分子動力学シミュレーションを、九州大学の 村上 恭和 教授 らが透過型電子顕微鏡による構造観察を行いました。その結果、ScO6八面体が連なった特徴的な原子配列が、結晶内での高速なプロトンの移動を可能にしていることが解明されました。
 今回の発見は 、プロトン伝導性酸化物が1981年に発見されて以来 、その高性能化を阻むプロトントラップ回避方法を初めて提案、実証した点に意義があります。これにより、低コストな中温動作SOFCの実現に繋がり、SOFCの実用化や多用途化を大きく加速させることが期待されます。
 本成果は、英国の雑誌「Nature Materials」に2025年8月8日(金)に掲載されました。

プレスリリース本文は 九州大学HP よりご覧いただけます。
             図1.プロトン伝導率の温度依存性


論文情報

掲載誌:Nature Materials
タイトル:Mitigating proton trapping in cubic perovskite oxides via ScO6 octahedral networks
著者名:Kota Tsujikawa, Junji Hyodo, Susumu Fujii, Kazuki Takahashi, Yuto Tomita, Nai Shi, Yasukazu Murakami, Shusuke Kasamatsu and Yoshihiro Yamazaki
DOI:10.1038/s41563-025-02311-w

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山崎研究室のHP

【プレスリリース】非従来型プロトン伝導体の効率的探索手法を世界で初めて開発・実証

九州大学エネルギー研究教育機構(Q-PIT)、稲盛フロンティア研究センターおよび大学院工学府材料物性工学専攻修士課程の清水雄太氏、兵頭潤次特任助教、山崎仁丈教授の研究グループは、大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻の藤井進助教、ファインセラミックスセンターナノ構造研究所の桑原彰秀主席研究員と共同で、計算とデータ科学を用いてプロトン伝導性酸化物の設計指針を構築し、たった一度の実験で非従来型プロトン伝導性酸化物を複数合成することに成功しました。この材料設計指針を用いることで、プロトン伝導性酸化物やそれを利用した固体酸化物形燃料電池(SOFC)の開発が大幅に進展することが見込まれます。また、構築した探索手法を他材料へと応用することで、革新的材料開発が様々な分野で加速されることが期待されます。

研究成果

本研究グループは、ハイスループットな材料科学シミュレーションと物理解釈可能な機械学習モデルを用いることによって、ベースの化合物とドーパントの組み合わせを適切に選択し、材料中にプロトンを導入するための材料設計指針を提案しました。この設計指針に基づき、Pb添加Bi12SiO20およびSr添加Bi4Ge3O12を選択したところ、それぞれたった一度の試行で合成することに成功し、どちらも新規プロトン伝導性酸化物であることを実験的に証明しました(上の図)。特に前者は、シレナイト型構造を持つ化合物としても、14および15族の陽イオンのみから構成される化合物としても、世界で初めてのプロトン伝導性酸化物です。プロトン伝導体探索において新たなフロンティアを切り開いたと言えます

プレスリリース本文は九州大学HPよりご覧いただけます。

論文情報

掲載誌:Advanced Energy Materials, 2301892, 2023
タイトル:Discovery of Unconventional Proton-Conducting Inorganic Solids via Defect-Chemistry-Trained, Interpretable Machine Learning
著者名:Susumu Fujii, Yuta Shimizu, Junji Hyodo, Akihide Kuwabara*, and Yoshihiro Yamazaki*
DOI:10.1002/aenm.202301892

山崎研究室のHP


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遺伝子解析における新しい量子技術:量子コンピュータによるDNA塩基分子の1分子識別

多田教授と阪大産研谷口教授により量子コンピュータを用いたDNA塩基分子の1分子識別に関する研究成果が発表されました。本成果は、従来の遺伝子解析では実現できなかった高速な1分子識別を量子コンピュータが可能にしうるという画期的な成果です。 本成果はアメリカ化学会誌 The Journal of Physical Chemistry B (ACS) に掲載されました。

Single-Molecule Identification of Nucleotides Using a Quantum Computer
多田朋史教授らの研究グループの研究成果について、8月8日の日経クロステックに掲載されました。
詳しくは日経クロステックHP「阪大と九大、量子コンピューターでDNAを構成する塩基分子から1分子の識別に成功」をご覧ください。

山崎教授の論文がカバーアートとして採用されました!

カバーアート

山崎教授と共同研究者の研究論文が、3月のジャーナルのカバーアートとして採用されました!

論文情報

掲載誌:Chemistry of Materials, 35, 6, 2289–2301, 2023
タイトル:Probing Local Environments of Oxygen Vacancies Responsible for Hydration in Scdoped Barium Zirconates at Elevated Temperatures: In Situ X-ray Absorption Spectroscopy, Thermogravimetry, and Active Learning Ab Initio Replica Exchange Monte Carlo Simulations
著者名:Kenta Hoshino, Shusuke Kasamatsu, Junji Hyodo, Kentaro Yamamoto, Hiroyuki Setoyama, Toshihiro Okajima, and Yoshihiro Yamazaki*
DOI:10.1021/acs.chemmater.2c02116

【プレスリリース】⾼性能電解質材料におけるプロトン導⼊反応の活性サイトを世界初解明

九州⼤学エネルギー研究教育機構(Q-PIT)および⼤学院⼯学府材料物性⼯学専攻の星野健太博⼠(研究当時)、兵頭潤次特任助教、⼭本健太郎特任助教(研究当時)、⼭崎仁丈教授の研究グループと⼭形⼤学学術研究院の笠松秀輔准教授は、九州シンクロトロン光研究センターの瀬⼾⼭寛之博⼠およびあいちシンクロトロン光センターの岡島敏浩副所⻑らと共同で、400℃動作固体酸化物形燃料電池(SOFC) の電解質として期待されているプロトン(H+)伝導性酸化物において、プロトン導⼊反応が起きる局所構造(活性サイト)を明らかにしました。

研究成果

本研究には、ペロブスカイト酸化物の中でも既報の中で最⾼レベルのプロトン伝導性と化学的安定性を兼ね備えたSc 置換ジルコン酸バリウムに着⽬し、放射光を⽤いたその場 ⽔和実験、スーパーコンピュータと機械学習を活⽤した⼤規模シミュレーションおよび精密熱重量分析を組み合わせることにより、⽔和反応を活性化する材料中の局所構造を多⾓的に調査しました。その結果、スカンジウム(Sc)とジルコニウム(Zr)および⼆つのSc に挟まれた酸素⽋損⽋陥が⽔和反応の局所活性サイトであることを特定し、その温度依存性を明らかにすることに成功しました。

プレスリリース本文は九州大学HPよりご覧いただけます。

論文情報

掲載誌:Chemistry of Materials, 35, 6, 2289–2301, 2023
タイトル:Probing Local Environments of Oxygen Vacancies Responsible for Hydration in Scdoped Barium Zirconates at Elevated Temperatures: In Situ X-ray Absorption Spectroscopy, Thermogravimetry, and Active Learning Ab Initio Replica Exchange Monte Carlo Simulations
著者名:Kenta Hoshino, Shusuke Kasamatsu, Junji Hyodo, Kentaro Yamamoto, Hiroyuki Setoyama, Toshihiro Okajima, and Yoshihiro Yamazaki*
DOI:10.1021/acs.chemmater.2c02116

【プレスリリース】日韓の消費者による燃料電池車・電気自動車の評価を調査

2050年カーボンニュートラル社会達成に向けて、2035年までの100%電動車化戦略を進める国が増えています。日本は電気自動車、燃料電池車ともに開発・発売で各国に先行しましたが、現在では各国の後塵を拝している状況にあります。燃料電池車の販売台数世界一となった韓国と、低迷する日本を比較し、日本や各国での普及に向けた方策を消費者意識の観点から解明する必要があります。
 九州大学エネルギー研究教育機構の吉田謙太郎教授とソウル大学Deok-Joo Lee教授、大学院生Jihyeok Jung氏は共同で、日韓における消費者調査に基づく評価研究を実施しました。

研究成果

日本と韓国では次世代車への消費者意識が乖離し、韓国の消費者は燃料電池車と従来型自動車の価格差への反応が低い傾向が明らかになりました。比較的高価なSUVが好まれる韓国と軽自動車も多い日本とでは、燃料電池車価格の値頃感に対する意識に差異が生じる可能性が示唆されました。

政策シナリオ別シミュレーションでは、購入価格補助よりも水素燃料代無償化が最も販売シェアを高めることが日韓ともに確認されました。CO2排出量を削減するための費用対効果は、韓国では購入補助金、日本では購入補助金と燃料代無償化のハイブリッド方式が高くなりました。日韓市場と消費者意識に基づく、未来の水素社会からバックキャストした技術開発とマーケティングの可能性を示す事例であり、今後の日本車市場の展開方向性を予測するために役立つことが期待されます

プレスリリース本文は九州大学HPよりご覧いただけます。

論文情報

掲載誌:Transportation Research Part D: Transport and Environment
タイトル:Comparison between Korean and Japanese consumersʼ preferences for fuel cell electric vehicles
著者名:Jihyeok Jung, Deok-Joo Lee, Kentaro Yoshida
DOI:10.1016/j.trd.2022.103511

【プレスリリース】材料の界面歪みとプロトン伝導度を関連づける定量モデルの構築に成功

九州大学エネルギー研究教育機構(Q-PIT)の山崎仁丈教授と兵頭潤次特任助教は、プロトン伝導性電解質と電極界面における歪みとプロトン伝導度の関係を定量化するモデルを構築し、高性能プロトン伝導性燃料電池セルにおける電解質中のプロトン伝導度を予測することに世界で初めて成功しました。本モデルを指針とした界面ひずみの低減により、中温動作燃料電池セル性能の最大化やさらなる高性能化が期待されます。

研究成果

面内圧縮ひずみによるプロトン拡散障壁の増加(左)実際の燃料電池における歪をシミュレーションし、どの程度プロトン伝導度が減少するか予測したところ、実験報告値と予測値が一致し、ひずみがプロトン拡散抑制に寄与していることを示唆しました(右)。

プレスリリース本文は九州大学HPよりご覧いただけます。

論文情報

掲載誌:Journal of Physics: Energy
タイトル:Quantitative Evaluation of Biaxial Compressive Strain and its Impact on Proton Conduction and Diffusion in Yttrium-doped Barium Zirconate Epitaxial Thin Films
著者名:Junji Hyodo and Yoshihiro Yamazaki
DOI:10.1088/2515-7655/ac889e

AI モデルの開発により、たった1 回の実験で新規プロトン伝導性電解質を発見! ~中温動作燃料電池に用いる電解質材料の開発加速化に期待~

山崎仁丈教授らによる本研究成果は、日本時間2021年8月4日(水)に米国化学会の国際学術誌「ACS Energy Letters」のオンライン速報版で公開されました。
研究者からひとこと:
1981年にプロトン伝導性酸化物が発見されてから40年経ちましたが、プロトン伝導を示すペロブスカイトは100程度しか見つかっていません。
本手法により、新規材料探索が大幅に加速されることを期待しています。

ありません。

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