九州大学は、エネルギー分野の優れた研究実績を活かし、グローバルに深刻化するエネルギー・環境問題の解決と持続可能な社会の実現に寄与するために、2016年10月に「エネルギー研究教育機構」を設立しました。その背景には、2015年12月に第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組み、パリ協定が採択されたことがあります。これらの課題は世界規模での対応が必要で、我が国も、2020年10月に「2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しています。
このような中、本学は2021年11月に文部科学大臣から「指定国立大学法人」の指定を受け、目指す姿として掲げた「総合知で社会変革を牽引する大学」の実現に向け、世界の有力大学に伍する教育研究活動の展開を進めています。中でも本学が最優先で取り組むのは、社会的課題の解決とDXの推進による社会変革への貢献で、本学の強み・特色を生かし社会的課題の解決に貢献するエントリポイントの一つに掲げたのが「脱炭素」です。本機構には、本学が有するあらゆる学問分野の複合、融合による「総合知」創出の全学プラットフォームとして、社会変革とイノベーションを牽引する役割が期待されています。
本機構は、これらの大学の将来構想を踏まえ、2050年の脱炭素社会のグランドデザインの提示をはじめ、分野横断的な先端研究及び人材育成等を行うため、2022年4月にこれまでの研究ユニット体制を部門制(教育推進部門、研究推進部門、社会デザイン部門)に再編し、各部門に新たにコーディネーター及びサブコーティネーターを配置する改組を行いました。特に研究推進部門に置く「エネルギー材料デバイスクラスター」「エネルギーシステムクラスター」「エネルギー社会クラスター」の3つのクラスターには、多様なエネルギー関連分野から200人を超える研究者が結集しました。これらの研究者を中心に、異分野融合研究を推進し、総合知によるイノベーションの創出と、実社会の課題解決に取り組み、これらの活動を通して、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献します。
本機構が行うこれらの活動には、地域、産業界、研究機関など多くの関係の方々との連携、ご協力が不可欠です。今後とも本機構の活動へのご支援・ご協力をお願いいたします。
九州大学総長・エネルギー研究教育機構長 石橋 達朗