現在,地球温暖化を解決すべくCCSやCCUに関する研究が数多く行われているが,CCUについては変換率やエネルギー効率の問題から今のところ有効な方法はない.CO2を様々な炭化水素に変換することでカーボンリサイクルを可能とし,また多くの炭化水素がCOとH2から製造可能であることを踏まえると,CO2からCOを製造することが最適と考えられる.しかし,単体のCO2からCOへの変換は難しく,熱的にCO2をCOに変換するためには2,000℃以上の高温場が必要であり,あまり現実的ではない.また,文献におけるプラズマを用いた手法では, CO2変換率はプラズマのみで23%,プラズマ+触媒で45%と低く,CO2変換率に問題がある.これに対し,申請者らはこれまでプラズマのみで43%の変換率を獲得してきた.本研究では,さらなる工夫を重ねることで,80~90%以上のCO2変換率を目指す.
説明図 研究のコンサート
CO2は非常に安定な物質であり,熱的にCO2をCOに変換するためには2000℃以上の高温場が必要となり,あまり現実的ではない.近年は,低温で反応させることができる電気触媒や光触媒などを用いた研究が実施されているが,依然としてCO2変換率やエネルギー効率に課題がある.これに対し,本研究ではマイクロ波プラズマなどを用いて,高CO2変換率および高エネルギー効率を目指して研究を実施する点に特徴を有する.
現在,CCUに関する研究が数多く実施されているが,現状技術の延長線上では将来的な実用化は見通せないのが実情である.経済産業省が発表しているカーボンリサイクル技術ロードマップでは,高付加価値であるアルコール類,燃料,化学品などの様々な炭化水素をCO2から直接製造するとともに,COとH2を経て炭化水素を製造する目標が設定されている.このような目標が設定されているが,これらに該当するほとんどの炭化水素はCOとH2から製造することが現状技術でも可能である.すなわち,CO2をCOに高効率変換することができれば,製造されたCOとH2を反応させることで高付加価値な炭化水素を製造することができる.本研究グループでは,プラズマを利用した反応工学の山本,触媒を利用した反応工学の岸田・大島,装置設計を利用した反応工学の工藤がモジュールを構成し,従来技術のブレークスルーを果たすべく研究を遂行する.
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