世界的にSDGs目標達成への取り組みが進む中、環境及び社会影響、企業統治などを配慮して投資先を決める、いわゆるESG投資が活発化しており、エネルギー技術の持続可能性価値評価の重要性がより一層高まっている。そこで本研究は、ESG投資及び新国富指標の観点からエネルギー技術の持続可能性価値評価モデルを確立し、エネルギー技術の技術開発及び社会実装における活用に繋げることを目的とする。そのため、本研究では、エネルギー技術の持続可能性価値評価モデルの構築に向けて、複数のエネルギー技術を対象にライフサイクルを考慮したHSコードに基づくラベリングを実施し、社会LCA及び環境LCA手法を適用することで社会・経済・環境の算出を行い、表明選考法を用いたESG指標化及び新国富指標を活用したエネルギー技術の各種資本(自然資本、人工資本、人的資本)への影響をシャドープライスで示すための評価モデルの構築と、評価モデルの社会実装に取り組む。
LCAに基づく社会・経済・環境の3指標にかかる国際フロー算出概念図
エネルギー技術に関するLCA研究は多数あるが、その殆どが温室効果ガスのみに注目したものであり、環境、社会、経済への影響について網羅的に評価する研究は進んでおらず、本研究において確率するモデルによりLCA研究として網羅的な評価を行うだけでなく、算出された影響評価結果をESG投資及び新国富指標の観点から持続可能性価値として評価することが可能となり、学術的・社会的に大きな意義を有する。
本モジュール研究において構築するエネルギー技術の持続可能性価値評価モデルの学術的な重要性を明確に位置付けた後、「地域・企業との連携や実証試験等、社会実装につながる取組への発展」に向けて、新国富指標の観点による持続可能性価値評価モデルについては行政におけるエネルギー技術に係る政策における実装に繋げることを到達点の一つとし、ESG投資の観点によるエネルギー技術の持続可能性価値評価モデルについては、本学において技術開発が進められているDAC-Uをはじめとする新エネルギー技術への適用、更には企業との連携によるエネルギー技術開発における活用を通じた社会実装へと繋げることを目標とする。
Shutaro Takeda*, Alexander R. Keeley, Tom Gloria and Shunsuke Managi
Frontiers in Sustainability, 02 February 2023, Volume 4
DOI: 10.3389/frsus.2023.1130622