脱炭素エネルギー先導人材育成フェローシップ 2022年度
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wolleマイクロ波加熱実験の様子皆さんは電子レンジの便利さをご存じでしょう。マイクロ波を照射すると手軽に食品を加熱できますよね。同じように、マイクロ波で触媒を加熱し、様々な化学反応を進行させることが可能であり、通常の加熱方法に比べて触媒反応速度が増大するなどの研究例も多々あります。メタンの乾式改質反応など、二酸化炭素から合成ガス(水素と一酸化炭素)に変換する反応などにも有効ですので脱炭素化にも貢献します。マイクロ波の効果についてまだ科学的に不明な点もありますが、濱島君の研究で様々な現象が解明されることを期待しています。20Q-Energy Innovator FellowshipHAMASHIMATatsuya総合理工学府総合理工学専攻博士後期課程1年総合理工学研究院 教授指導教員からメッセージDRMでは二酸化炭素とメタンの反応により水素と一酸化炭素が一定の割合で混合した合成ガスが生成します。この合成ガスは様々な反応を経由して各種燃料や化学品を製造することが可能です。 DRMの最大の特徴は主要な温室効果ガスであるメタンと二酸化炭素を同時に化学的に有用な原料に転換可能である点であり、メタン、二酸化炭素以外に水蒸気を用いた改質と組み合わせることで合成ガスの水素と一酸化炭素の比率を変化させ、幅広い種類の化学品・燃料の製造に対応することができます。また、現在においてはメタンをバイオマスや廃プラスチックなどに代替する手法が検討されており、化石燃料に依存しない化学品・燃料製造が期待されています。しかし、現状DRMは実証実験レベルにとどまっており一部実用化されている例はあるものの広く普及には至っていません。その要因として炭素の析出抑制・高転化率を目的とした高温条件での反応による、燃脱炭素社会の実現に向けて産業部門などから排出される二酸化炭素の回収・貯留・利用( CCS/CCU )技術が求められている現在、回収された二酸化炭素を燃料や化学品として再生することによりカーボンニュートラルを達成するプロセスが盛んに研究されており、このプロセスの構成技術の一部としてメタン乾式改質 (Dry Reforming of Methane : DRM) が注目されています。料消費の多さと触媒の劣化が挙げられています。この問題の解決手段として、従来の加熱方法と比較し高効率な加熱方法として知られるマイクロ波の利用が注目されています。マイクロ波加熱は身近な例では電子レンジ等の食品加熱等が知られていますが、化学プロセスへの応用も研究されており、DRMではこれまで特異的な活性向上、炭素析出の抑制効果等が指摘されています。しかし、高温還元雰囲気のDRM反応下で活性、耐久性さらにマイクロ波昇温特性を両立する触媒開発が課題となっています。本研究では、従来の加熱法で高い活性が指摘されている La-Ni系触媒に着目し、マイクロ波加熱下での触媒活性の評価と平行して触媒のマイクロ波昇温挙動ならびに反応前後の触媒の構造観察等を行い、得られた知見を基に高効率・高活性な触媒の開発を目指しています。これまでの研究結果から、La-Ni系触媒はマイクロ波加熱を用いても反応が進行することを解明しているほか、触媒層温度の観察から、一定の条件下で触媒が飛躍的に昇温する現象を発見しました。今後は触媒の詳細な構造観察や特性評価を通じて昇温特性向上の要因を明らかにし、より高効率高活性な触媒開発に繋げていければと考えています。また、メタンの代替原料として廃プラスチックやバイオマスなどの原料を用いた反応プロセスについても取り組み、カーボンニュートラルな化学品や燃料の実用化に貢献できればと考えています。La-Ni系触媒を利用したマイクロ波援用DRMの検証永長 久寛高効率な反応を可能にするマイクロ波援用DRM用触媒の開発と反応メカニズムの解明濱島 達也15f

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