脱炭素エネルギー先導人材育成フェローシップ 2022年度
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wolleノルウェーNTNUへの留学の修了式海事産業の脱炭素化は世界的な大潮流であり、各国が競い技術開発を進めています。また、技術開発にはリスク評価により人と環境への高い安全性が求められており、我々はこの問題に早期にチャレンジしてきています。脱炭素化技術的はこれまでに経験の無い異次元の分野であることから大きな努力が求められますが、フェローの渡邊君は彼の持ち味であるチャレンジ精神の旺盛さを最大限に活かし研究を推進しています。彼には本フェローシップを通して様々な経験を積み上げ、課題を広い視野で捉えられるよう、着実な成長を期待しています。模型実験装置14Q-Energy Innovator FellowshipWATANABEToraharu工学府船舶海洋工学専攻博士後期課程2年工学研究院 教授指導教員からメッセージ国際海運による二酸化炭素の排出量は2019年で年間9.2億トンであり、世界全体の約2.5%を占める。これはドイツ一国分の排出量と同等であり、対策すべき大きな排出源の一つである。2018年に国際海事機関(IMO)は「GHG削減戦略」を採択し、2050年までに50%削減、今世紀中早期にゼロにするという目標を掲げた。また日本やノルウェーなどの国では更なる目標として、2050年までに排出をゼロにする「2050年カーボンニュートラル」を掲げた。これらの目標を達成するためにも、カーボンニュートラルを実現できる代替燃料が注目を集めており、アンモニア、水素、カーボンリサイクルメタンなどの開発が進められている。その中でアンモニアは農業用途(肥料の原料)として長く使われてきたことから、サプライチェーンの構築が進めやすく、貯蔵が容易であること、燃焼してもCO2を発生しないことから有力なクリーン燃料として注目されている。しかしその一方でアンモニアは強い毒性を持ち、希薄な濃度でも人体への悪影響を及ぼすため、燃料として使用するには十分なリスクアセスメントとその対策が必須である。また新たに船舶燃料として使用するためには船舶の設計や取扱いのルールやガイドラインの策定が必要である。本研究では、アンモニア燃料の使用にかかるガイドライン策定のため定量的な根拠を示すことを目的とし、アンモニア燃料を使用したエンジンルーム(機関室)内で燃料が漏洩した場合を想定して、模型実験並びに数値流体解析を用いて、アンモニアの移動現象の解析と船舶機関室の最適な換気設計法の開発を行う。船舶機関室は甲板やエンジンによって仕切られ多数の機器や配管が設置された非常に複雑な構造を持ち、またエンジンからの発熱などもあり、非常に複雑な気流条件が見られる。この中でのアンモニアの滞留や拡散を解析することによって、アンモニアの漏洩が発生した場合の事故被害を最小化させることができる。既存の機関室設計での気流解析法やそのモデルはその他の燃料についても適用することができ、またアンモニアの移流拡散現象の解析は船舶のみならず、水素キャリアや火力発電用の燃料としても使用される可能性のあるアンモニアの安全性を向上させることが期待される。船舶における脱炭素燃料アンモニアの導入に向けた安全技術開発篠田 岳思アンモニア燃料を考慮した船舶機関室の換気制御に関する研究渡邊 虎春09f

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